綿矢りさを読み直してみた。

投稿者: | 13/04/2018

 最近、綿矢りさの作品を読み直している。彼女は高校2年生の時に文芸賞を受賞し、今では結婚して子供がいるまでになっている。

 私は大学生の頃、綿矢りさの作品を全て読み通したことがある。まだ単行本化されていなかった『いなか、のストーカー』や『履歴のない女』などまで、掲載された文芸誌を買い集めて読了した。別に文学的に優れているとかどうとかという問題ではない。ただ著者が抜群に美人だったからだ。

 一体、どうしてこんな美人が、根暗な人間の精神を引っ掻き回すような作品を発表し続けているのか、どうしても知りたかったのだと、今では思う。あるいは、美人だからと言って必ずしも人生を謳歌しているわけじゃないんだ、ということを美女の描く文学作品を通して知りたかったのかもしれない。実際、彼女自身は読書好きな内向的な性格でむっつりスケベだと自身のことを評して言ったことがあったし、村上龍氏の『限りなく透明に近いブルー』の解説では、高校生が覗き見る大人の世界を、全裸に仮面と毛皮のミンクのコートだけ身に着けた男女が入り交じり、ビリヤードに興じているようだと描写してあった。彼女の処女作『インストール』は、風俗嬢の代わりに風俗チャットを務める女子高生が話の主幹だった。続く『蹴りたい背中』では、好きだという想いを相手の背中を蹴り飛ばすことでしか表現できない女子高生の話であり、わりと新しい『ひらいて』では、女子高生同士が裸になって抱き合う場面や、好きな男を教室に呼び出して、裸でその男に迫るシーンが印象深い。綿矢りさという作家は、いつも大人になる前の段階にいる人間の精神を、壮大な描写・巨大な比喩でもって表現してくれる作家なのだと思う。

 近年では、その世界は高校から大きく広がり、映画化も頻繁になされている。『かわいそうだね』『かってに震えてろ』など、深化した綿矢りさ作品として、今読む本を探しておられる方々に是非おすすめしたいと思う。